四つの視点 第34回(1) 今月のテーマ「少人数企業のISO9001」

四つの視点(第34回) 今月のテーマ「少人数企業のISO9001」

ISO9001をどのように少人数企業で活用するか

審査登録機関/ビーブイキューアイジャパン(株) 営業統括マネジャー 岡崎 久喜 氏


少人数企業の好事例「やずやグループ」


大手や中堅企業であればISO9001はうまく活用できるが少人数企業ではうまく使えないのではないかという意見が大勢を占めているが、果たして本当にそうであろうか。大手・中堅企業は人材も豊富でマネジメントシステムを運用する資源も充分に供給できる。それに引き換え少人数企業には資源も仕組みも不足しており、構築も維持も簡単ではない。明確な仕組みがないという理由で、ある人の出張ですべての仕事が止まってしまうのは、むしろ小企業の方が多いのかもしれない。したがって、誰が何をすることができると明確なルールを決めることだけでもISOは有効だといえる。

ISO9001を利用して、間違いのない仕事をするために、またお客様に喜んでもらうために、会社として何をやらなければいけないのかを整理してうまく運用している例として、香酢で有名な「やずやグループ」の九州自然館という会社がある。にんにく卵黄などの健康食品の販売会社で、数人の規模で売上げは25億円以上の会社である。プロセスごとに業務の見直しを行い、組織として何をするべきなのか、何をしてはいけないのか、何が必要なのかを明確にしている。商品の発送時にカタログや請求書を同封するプロセスで請求書を一番上に入れることはやってはいけないこと、感動を与えて共に育つことがやらなければいけないこと、その文章や手紙が書けるようになることが必要な能力と定めている。今まで3年間の運用で25版にも及ぶマニュアルの改訂を行い、少しずつ使いやすいものに仕上げている。全体の文書類も必要最小限のものしかない。

少人数企業の審査


特に少人数企業で審査のやり方を変えてはいないが、運用面で問題点はないか、本当に仕組みが動いているのか、形だけのシステムになってないかを充分なインタビューを通じて確認させていただいている。審査員の指摘が合理的か、充分に話をして事象を理解して指摘しているかが重要な点となる。ISOの審査は押しつけや、こうあればよいというものではなく、問題点を「ここが弱いですね」と指摘することである。BVQIでは健康診断の前に酒を抜いたり、食事を抜いて肝機能の数値や体重を調整したりするのではなく、そのままの状態で審査を受けていただくようお願いしている。

専任の担当者を少人数企業で置くのは難しいので、仕組みを軽くし、時間をかけないで動かせるよう実態に合わせることは災い転じて福となすことだと思う。とはいっても、うまく機能している会社は皆で規格の要求事項を普段使う言葉に置き換えて理解し、なぜこの要求事項が出てきたのか、その意図まで確認するといった作業を行っている。苦労して努力している会社がうまくISOを役に立てているケースが多いのは、偶然ではないように感じる。


<アイソムズ 2006年7月号掲載>

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