四つの視点 第34回(2) 今月のテーマ「少人数企業のISO9001」

四つの視点(第34回) 今月のテーマ「少人数企業のISO9001」

「ISOは大変」「人がいない」、小企業だからこその導入効果

コンサルタント/西村経営事務所 西村 茂樹 氏


ISO9001の仕組みは小規模企業にこそ有効なシステムである


大企業と異なり、多くの小規模企業では、“マネジメントシステム”におけるPDCAサイクルの「P:計画」という概念が存在しない。何か年間計画を立案しそれに向って何かをするということがなく、ただ毎日、毎年を過ごしている場合が多い。景気の良い時はそのような考えでも企業として成り立っていたが、今後は今までどおりの仕事の仕方では通用しなくなるのはいうまでもない。

小規模企業にとってPDCAサイクルを回し、継続的改善をする仕組みをISO9001という道具によって構築できる利点は大きい。ISO9001は“企業が引き続き成長するための必要最低限の規格”であり、この内容を実施するのが大変だ、という企業は今後の成長は見込めないかもしれない。

「そうはいうものの、ISOは大変だ」そういう方は、「何のために、そのことをする必要があるのか?」ということをよく考えてみて欲しい。ISO9001の要求事項は、“当たり前のことばかりで一切の無駄な要求はない”はずだ。しかし、その“当たり前”を小規模企業はできていない場合が多い。

まだまだ“ISOのための仕事がある”ならば、もう一度ISO9001要求事項を読み直して見るのもいいかもしれない。 読み直してみると、意外と簡単、当たり前のことしか要求していなかったりするはずだ。

小規模企業でのコンサルティング上の苦労点


今まで100社程度のコンサルティングを手がけてきた。その中での苦労は様々であったが、特に小規模組織の場合は以下のような苦労が多かった。

(1)受審企業にとって審査員は絶対的な存在であり、反論はできないと思っている

審査員は大企業出身者が多く、大企業並みの重たいシステムを押しつけられるものの、反論すると審査に合格できないと思い込む。その結果、せっかくのシンプルなシステムをコンサルタントである私と企業が構築してきていても覆される。その上、「コンサルタントがOKを出したのに、審査員が駄目だといった」となり、力量不足の審査員のお陰で、コンサルタントの力量を疑われるようなことも多々ある。

このことは審査員が小規模企業のやり方を理解できないという力量不足からくるものであるが、この外的要因がコンサルタントとして一番苦労する点でもある。

(2)やっぱり、人がいない

人がいないというのは、ISO構築中は時間がかかり大変なことでもある。当然ISO専任者などはいない。皆、自分の普段の仕事をしながらのISOへの取組みとなる。

通常業務終了後、コンサルティングの開始時間が夕方18時からというお客様も今まで数多くいた。夕方のコンサルティングは皆キツイので、時間的にも早めに切り上げざるを得ない。したがって訪問回数も増える。私も辛いが、お客様も辛い。

しかし、人がいないことによって全員参加のISOとなり、ISO認証取得後の維持管理は企業にとって楽になる場合が多い。

小規模企業にとって、ISO9001を構築する途中段階は少し大変なことがあるかもしれない。しかしながら、その苦労は「会社の成長」という結果で必ず報われる。小回りのきく小規模企業こそ、ISO9001を導入し、全社員で運用してみて欲しい。


<アイソムズ 2006年7月号掲載>

ISO研修はグローバルテクノ