四つの視点(第34回) 今月のテーマ「少人数企業のISO9001」
少人数の長所を生かし、秩序立った運用を
企業/インターチップ(株) ISO管理責任者 八木 謙二郎 氏
全従業員6名のISO9001取得
当社は1998年に半導体製品の開発・設計・販売を業務として設立された、いわゆるベンチャー企業です。アナログ設計技術を駆使して特定分野向けの半導体製品を開発し、製造は外部委託するファブレス会社であり、社長以下6名の少人数で、製品企画、要素開発、製品設計、試作・製造の管理、営業・販売を行っている文字通りの少人数企業です。
ISO9001認証取得はお客様の要請に基づいて行いました。当初は、当社のような小企業には必要のないことだと思っていましたが、お客様の技術者から製品採用を社内に説明するに際し、「製品の品質・性能は仕様書と評価結果でよくわかってもらえるが、会社の品質を理解してもらうのは至難の技だ、ISO9001認証済みと説明すれば、簡単にわかってもらえる」というわけで認証取得を強く勧められました。
その結果、2004年の春に準備を開始し、2005年春に無事認証を得ることができました。
「阿吽の呼吸」からメリハリのある業務遂行へ
認証を得たことによるメリットは、導入の動機となった「確実で迅速な製品認定」が第一にあげられます。知名度がない小企業にとって、ISO9001認証取得の事実は、顧客の信頼を得るためには百万言を弄するよりも効果的で、製品認定などのビジネスステップを円滑にさせる大きなメリットを与えてくれました。
第二のメリットは、少人数企業であるがために、「阿吽の呼吸」という美名に隠れて、曖昧でメリハリのない業務推進を行っていた嫌いがあった点が、プロセスの節目、節目のチェックに客観性がともない、よい意味で緊張感がともなうようになったことです。
技術的には自信があっても品質管理全般に若干の不安があったものが、ISO9001認証取得の過程でやるべきことはやっているという自負が生まれ、顧客に対しても自信を持ってその品質を説明できるようになっています。
形式的にならない運用を
少人数でISO9001認証にふさわしい「形」を構築することは大変なことでした。
小なりといえども、企画・開発・設計・製造委託・入荷・出荷検査・出荷・販売と一通りの業務があり、反面いわゆる規定類などは簡単なものがわずかしかなかった状況で、必要と思われる書類をすべて準備しなければなりません。限られた人員で専任も置けず、全員が分担して取り組むことになりました。日常業務との兼ね合いに苦労しました。
少人数の当社は「製造及びサービス提供」の項のほとんどを外部委託していますが、「管理された状態」を確実にするマネジメントシステム構築には、参考例が少なかっただけに苦心しました。
運用上では、少人数の活動の中でいかに形式的にならないでプロセスを管理できるかが課題です。
例えば「内部監査」を行うにしてもお互いに充分理解できていると感じているだけに、質問や指摘の矛先が鈍る傾向があります。ややもすると手を抜きがちになります。
業務の節目におけるチェックでも、一声かければすぐに意思疎通できてしまうため「会議」などで記録を残すことも苦手です。
今後は、少人数であることの長所を損なうことなく、秩序立ってプロセスを進捗させることが品質マネジメント運用上の課題です。
<アイソムズ 2006年7月号掲載>

