四つの視点 第37回(2) 今月のテーマ「ISO14001自己宣言の課題」

四つの視点(第37回) 今月のテーマ「ISO14001自己宣言の課題」

自己宣言で見えてきた“使い勝手のよい”システム

自治体/新庄市役所 環境課環境保全室 主事 井上 明彦 氏


「お金がない!!」どこかのドラマで聞いた台詞のようであるが、まさに私たち地方の、とりわけ財政規模の小さい自治体が直面する状況である。人口の減少、増えない税収、削減の続く交付金…当市も将来への生き残りに向け、現在行財政改革の真っただ中である。

市全体の事業について見直しを図る中、2002年度に認証を取得した環境マネジメントシステムについても、百数十万円もの更新審査費用を投じて2005年度に認証を更新するのか、あるいは話題の『自己宣言』方式に移行するのか、検討せざるを得ない状況となった。

『自己宣言』…本当にできるの?


規格の理論上は選択可能ではあるが、現実的に可能なのか。先進自治体の取組みをHPなどで調べれば調べるほど、担当としては不安が募る一方であった。

・先進自治体では、市民監査員などを採用し『内部監査』の精度・透明性を高めることでシステムの信頼性を確保している。当市はどのような手法で規格への適合を自己宣言すればよいのか。
・審査機関とのかかわりがなくなるわけだが、今後はどのような方法で事務局の技術的な水準を維持・向上していけばよいのか。当然、コンサル費用などあるわけがない。

この二つの問題を解決しない限り、到底、自己宣言などできないと私なりの結論を出した。

解決の鍵は…『内部環境監査アドバイザー制度』!!


今後の方向について悩んでいた2004年の春、思いもよらない話が舞い込んできた。市内企業に所属する審査員補の方が「監査経験を積むために当市の内部監査をしたい」というのだ。渡りに船とはまさにこのこと。早速「事務局監査の実施」に加え「内部監査員研修の実施」「実際の監査への同行指導」などをお願いしたところ、ご本人そして所属企業にも快諾いただいた。『内部環境監査アドバイザー制度』と命名し、最大限に活用することにした。

アドバイザー制度の活用は内部監査にとどまらない。システムの運用上の悩みなどを率直に相談し、専門的かつ実務的な見地から指導をいただいている。アドバイザー制度の導入により内部監査の信頼性・透明性が高まり、さらに事務局や内部監査員のスキルアップを図ることができた。今後もシステムに対する一定の社会的な信頼性を確保できると判断。2005年7月、晴れて(私個人はやっとの思いで…)『自己宣言方式新庄号』は船出した。

自治体とISO ~今後の方向性について~


ISOは、環境施策を推進し、環境汚染を予防する上で大変有効なツールであることは間違いない。しかし、「自治体にとっては必ずしも“使い勝手”のよいツールではない」というのが、自治体担当者としての率直な感想である。例えば、当市のシステムを考えてみても、

・『通常の事務事業の進捗管理』に加えた『マネジメントシステムでの管理』という“二重”管理
・内部監査結果や事業の達成状況などを、次年度予算に効果的に反映する仕組みが確立されていない
などの問題を抱えている。

当市の場合“認証審査に合格するため” の煩雑な書類管理から解放され、アドバイザーの指導の下、システムの簡素化・効率化を図ることができた。これが自己宣言方式を選択した最大の効果ではないだろうか。

今後も、内部監査などによりシステムに対する社会的信頼性を確保する一方で、当市の実情に即した“使い勝手”のよいシステムの構築・運用を模索していくことが大切ではないかと考えている。

<アイソムズ 2006年10月号掲載>

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