四つの視点 第38回(3) 今月のテーマ「ISO22000への期待」

四つの視点(第38回) 今月のテーマ「ISO22000への期待」

性急な登録に走らず、不足部分のチェックツールとする

コンサルタント/(有)フーズネットワーク 代表取締役 小堀 和之 氏


フードチェーン全体への浸透が課題


ほとんどがHACCP、SQF、ISO9001の承認取得済みである弊社のクライアントでは、ISO22000(以下、規格)に対する態度は様々である。他社の動向観察を含め静観、大いなる戸惑い、さらには審査制度からの撤退といったところまである。高額だといわれる審査登録のためのさらなるコストをかけるだけのメリットを見出せるのかといったところである。

私自身、怪しげな仕事と自覚しながらも、コンサルタントという肩書きの仕事を、農林水産省を退職後、約10年間続けてきた。1997年からHACCP導入などの支援をしてきたが、当時は米国へ水産品を輸出するため、とにかくお墨つきがあればよいという、多分に営業政策的な意図からの導入であった。

そこからの弊害については前述した(アイソムズ2005年5月号)が、この規格に関してはその轍を踏むことなく、また単なる認証取得競争に煽られるのではなく、本質的なフードチェーン全体の食品安全の確保といった方向へと進むことを切望したい。

この規格は、最終消費に至るフードチェーンに沿った食品安全を確保するために、一般に認識されている四つの主要素を組み合わせたものであり、この組み合わせの最初に「(1)相互コミュニケ-ション」とされていることに留意したい。

製造工場の、あるいはその他のフードチェーンも含めてであるが、自社だけでの製品の安全確保は実現困難である。ポジティブリスト制度により脚光を浴びている残留農薬などの問題にしても、自社だけでの対応は難しい。原材料の納入業者(生産者でない場合が多い)にいくら保証書を提出してもらっても、何の問題解決にもならない。原料納入業者、生産者との相互コミュニケーションによってのみ、生産過程での農薬などの使用の実態が把握でき、原材料の管理が可能となることはいうまでもない。

また、この規格は成熟した、ISO9001規格のシステムマネジメントのあり方を取り入れたものであり、自社のシステムの成熟度の判定基準としても取り入れていただけるのではないかとも考えている。規格の要求事項は、それぞれの企業のマネジメントシステムに不足する部分を探し出すためのツールとしても有効である。事実、弊社のクライアントでも自社には何があって、何が足りないのかのチェックリストとして活用している。

審査登録と認証登録の方向性


規格の現場への導入定着と審査登録とは分けて考えることも必要だと考えている。性急な登録に走らず、まずは小規模企業に不足しがちなPDCAサイクルの実効を感じる、あるいは相互コミュニケーションによる有効な手続きを確立維持して行くことが重要であることを再確認していただきたい。

また、食品安全チームの活動を通じて社内のコミュニケーションがみるみるよくなって行く様子も、きっと実感できるではないだろうか。きっとそれからでも遅くはないだろう。

一方、認証登録の方向性としては、今後は食料輸出国の認証取得状況や流通側の意向といったものに大きく影響されるのではないだろうか。この規格が浸透するためには、小規模工場や一次生産者がどういった取組みをするかが重要な課題となろう。その意味から、この規格に関しては、行政の大いなるバックアップも期待したい。食品安全は、フードチェーンにかかわるすべての関係者の一丸となった努力を通じて確保される。このことを肝に銘じたいものである。

<アイソムズ 2006年11月号掲載>

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