四つの視点(最終回3) 今月のテーマ「ISO、これからの10年」
確固としたマネジメントシステム論理を
コンサルタント/西沢総合研究所 西沢 隆二 氏
ISOマネジメントシステムの現状の問題点と今後
ISOマネジメントシステムの問題点について、ISO9001:2000を例にとって考えてみよう。
1994年版から2000年版に規格改訂した意図は、品質保証だけでなく、顧客満足向上をも目指したとあるが、実務レベルでは大きな改訂はなかった。だから、日常活動は1994年版に多少の修正追加をした程度で、あまり変化はなかったといえる。
考えてみれば、ISO9001:2000の個別の要求は1994年版の時からきわめて常識的な内容である。しかし、これが定着上で問題を起こしてきたのは、日常活動で消化しきれない、過剰な書類を必要とするシステム設計が多発したのが大きな原因であったようだ。システム維持のために必然的に発生するコストへの無関心の表れであった。
それは個別企業に適応した、マネジメントシステム開発の失敗でもある。このため、ISO9001:2000の活動は企業の日常活動の外側で行われることが多くなり、そうなると常識的なものまで定着効果は期待できなくなった。
ISO9001:2000やISO14001:2004取得企業のスキャンダルの例を見ると、規格の趣旨が定着していれば予防できたことが多いことも、それを示している。
しかし、この書類主義からの脱却にはかなり抵抗が多いであろう。それは信念を持って書類を作った人々の生きがいや価値観を破壊し、場合によっては職を失うことになるからである。
今後10年間の個別企業のISOマネジメントシステムの運命は、トップが実態を把握でき、問題点を正しく理解し、抵抗を排除して、日常活動に吸収できる価値ある簡潔なシステムに、トップダウンで改善していけるかどうかで決まるであろう。
今後の新しい問題点
多くのマネジメントシステムが開発され、今後、企業に対する取得要求が増加してくるようになるであろう。
これらの規格要求は企業活動のそれぞれの部分側面からの要求だが、企業活動は一本である。これが多様なマネジメントシステムの導入の時に問題となる。
また、一方でセクター規格も登場してきているが、これらがISO9001:2000と同じ発想で書類の増加という方向で効果を期待しようとすると、ISO9001:2000と同じ運命に終わるであろう。
多様なマネジメントシステムを導入しても、成果をあげることができるかどうかは、企業が多様なシステム要求を統合し、日常活動で消化できる簡潔なシステムを設計でき、かつ、実行できるかにかかっているであろう。
総体的な見通し
株式上場企業では日本版SOX法の内部統制システムがこの10年の間に深く関連してくるであろう。このシステムは、ISOマネジメントシステムとかなりオーバーラップする。
また、ISOマネジメントシステムが反省してきた書類依存主義が強いようである。その面で、今までと違った複雑な問題を抱え込むようになろう。これら書類漬けになりやすい動向に対応するには、企業側が明確で、かつ、確固としたマネジメントシステム論理を持っていることが必須となろう。IT利用も、そのようなマネジメントシステムソフトが確立しない限り、効果を発揮できないであろう。
<アイソムズ 2006年12月号掲載>

