グローバル・ニュース 2008年10月号(3)
コラム いそいそとISO に取り組んで、会社業績アップアップ
新日本認証サービス(株) 楢崎 建志
最近「統合システム」「統合審査」という言葉がよく使われるようになりましたが、2007年4月13日のJABの文書においても、『本来、組織のMS は、組織のビジネス及び組織が社会の一員として行う付帯業務をマネージするただ一つのシステムであり、品質マネジメントシステム(QMS)、環境マネジメントシステム(EMS)、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)などのMS を、「規格要求事項」又は「認証審査対応」の視点のみで捉えていくと、組織の本来あるべき姿を見 失うことになります。』と述べており、決して統合審査とは複数の規格の要求事項を一つにまとめたマニュアルを審査することではないとは容易に想像できます。
マネジメントシステム構築の共通な第一歩は「文書化」ですが、何のために(どういう目的で)文書化が必要なのでしょうか。
一般的には(特に記録は)自分の妥当性を証明するためと解されていますが、「文書化」にはマネジメント上もっと大事な視点があります。ISO14001に文書化要求事項が入っている項目は4.2 環境方針、4.3.3 目的、目標及び実施計画 など限られた項目です。
先ほど、「一般的には『自分の妥当性を証明するため』と解されています」と書きましたが、上記のISO14001:2004(ISO9001:2000 もISO/IEC27001:2005 も同じです) の要求事項の中で妥当性証明が必要な要求事項は果たしてどれでしょうか。マネジメントにとってもっと大事なことは、「文書化」の持つ魔力、それは「潜在意識に叩き込むという作業のため」です。
方針は経営者が“心に描いたこと”、“願望”に対する確認です。そしてそれが煮詰められていくと目的−目標−戦略−行動計画(実施計画)と呼ばれるものになります。何をしたいか、どこに行きたいかを決めることですが、先人方の本に共通していることは「それを紙に書け」ということです。ISOではそれが“文書化”の作業なのです。
稲盛先生は「夢がカラーになるまで」、マイヤーさんは「心に描いたもの(方針)を生き生きとさせ」と表現されています。ISO14001:2004も方針の「文書化」を要求しています。文書化はまずは自分のために心に描いたことを明確にするための作業です。
マネジメントにおける原則は「やってはいけないこと」「やらなくてはいけないこと」の二つしかありません。その原理が「要求事項」としてISOに書かれています。ISOに書かれていることを素直に経営層が、あるいは全社員が実行する。それがISOを利用した統合経営システムであり、当該組織のビジネスの流れに沿ってそうなっているかを第三者の見方で審査するのが統合認証審査です。偽装問題を起こした社長さん、会津の街角にある「あいづっこ宣言」を勉強しませんか(みんなISO要求事項に入っています)。
(1)本気で「いそいそと」取り組んでいるか、
(2)誰かに「ISO・ISOと」言われて仕方なしにやっているかを審査しなければならない時代になってきました。
楢崎 建志(ならさき たけし)
外資系企業勤務後、ISO14001発行以前から審査登録機関のEMS審査業務立ち上げに携わり、日本人として初の英国環境監査員認定協会(EARA:現IEMA)から「プリンシパル環境監査員」の認定を受ける。2000年に審査登録機関「新日本認証サービス(株)」を設立。現在、同社代表取締役。またグローバルテクノがISO14001審査員研修コースを開設した当時の主任講師でもある。
<グローバル・ニュース 2008年10月号掲載>

